~アジア競技大会に出場する選手を応援しよう~

アジア競技大会に出場する選手を知って、選手を応援するシリーズ。
今回は、競泳(自由形)の村佐達也選手に話を聞いた。

■世界水泳銅メダル、急成長の19歳 大舞台でのびのび

競泳・自由形で日本の新エースに躍り出た19歳が、アジア競技大会で、そして2年後のロサンゼルス五輪で金メダルを狙っている。愛知県刈谷市出身の村佐達也選手。中京大中京高(名古屋市)時代に頭角を現し、2024年パリ五輪で男子800メートルリレーのメンバーとして7位入賞を果たすと、翌年の世界選手権200メートル自由形では1分44秒54の日本新記録で銅メダルを獲得した。男子200メートル自由形はパワーのある海外勢が強く、日本勢は五輪、世界選手権を通じて金メダルに手が届いた前例はない。それでも村佐選手はロサンゼルス五輪での金メダルを目標に掲げ、「自分のレースは終盤に逆転して勝つような展開で、見る人を楽しませる自信があります」と語る。競泳人生としては、さらに大きな夢も胸に抱いている。

プールサイドでポーズを取る村佐選手

1メートル78、66キロの体格は、世界トップレベルでは小柄な部類に入る。だが、体の位置が高く、水面近くから沈まない泳ぎは水の抵抗を受けにくく、推進力を生み出す。「ボディポジションの高さという特長は正直、人に言われて気づきました。自分では意識せずともできていました」と自らの強みを説明する。

体の位置が高く、推進力のある泳ぎ

レース終盤の追い上げも持ち味だ。2024年3月のパリ五輪代表選考会。200メートル自由形で、残り50メートルのターンの時点で7番手ながら、そこから追い上げ3位に。リレーメンバーとして五輪切符をつかんだ。2025年世界選手権の200メートル自由形は、100メートルを6位で折り返し、ラスト50メートルで5位から3位に食い込んだ。従来の日本記録を0秒11短縮し、世界選手権の同種目で表彰台に立った日本勢は2人目という快挙だ。大会前に高地合宿で約1か月間、トレーニングを重ねた成果も出た。レース終盤の強さについては「普段の練習から後半を意識しています。世界水泳の時は高地合宿もあって終盤での強さを発揮できましたし、絶対ここでメダルを取りたいという気持ちの強さも出せました。大舞台でプレッシャーを感じず、自分の泳ぎがのびのびできるのも強みです」と、精神面の強さも要因として挙げる。

レース終盤での強さを武器とする村佐選手

■後半の強さに自信 「アジアで勝ち切ってロス五輪へ」

水泳を始めたのは、兄が通っていたスイミングスクールについていったのがきっかけ。物心がついた時からプールで泳いでいた。小学校に入学すると、速い子どもたちが集まる「選手コース」に入り、大会に出場した。中学生までは特別目立った選手ではなかったが、中京大中京高で急激に実力を伸ばした。それまでは1500メートルなど長距離種目を主戦場としていたが、リレーのメンバーとして200メートルで好タイムを出し、短距離に転向。それからは「普通に練習していては速い人たちには勝てない。みんなが頑張らないようなところで頑張り、差を埋めていこう」と考え、細かい努力を積み重ねてきた。他の選手が全力を出さないような練習でも速いペースで泳ぎ、一切手を抜かない。長距離を経験したからこそ、今、力みなく水の抵抗を受けにくい前半、そしてスタミナが生きる後半の泳ぎにつながっている。

アジア競技大会への思いは強い。2016年に地元開催が決定した時、9歳だった。「大会時は19歳ぐらいなので、その時には日本代表に入っていたいと思いました。名古屋で開催される大会なので活躍したいという気持ちがありましたし、今、金メダルを狙える位置にいるのでしっかり戦いたいです」。アジアは自由形のレベルが上がっており、優勝タイムやメダルラインは世界選手権とあまり変わらないという予想もある中、「アジアでしっかり勝ちきって、ロサンゼルス五輪へ向かいたい」と抱負を語る。

アジア競技大会での抱負を語る村佐選手

五輪での金メダル獲得に向け、スピードが課題だと捉える。トレーナーの指導を受けてウェートトレーニングを始め、体作りに取り組んでいる。「ウェートはこれまであまりやってこなかったんですが、今は重い重量を扱うことも増えてきました」。

ロサンゼルス五輪は21歳、次のブリスベン五輪は25歳で迎え、金メダルへの期待は膨らむ。ただ、競泳人生の目標は個人にとどまらず、もっと大きい。「競泳を日本でも野球やサッカーと同じように国民的なスポーツとして普及させたいです。そのために自分はしっかり活躍していきたい」。華のある選手、人々を惹きつける魅力ある選手となることを目指しているのもそのためだ。「後半に強い自分のレースは、競泳を知らない人も楽しませる自信がありますし、世界的には小柄な選手でも勝てるところを見せたいと思います」。新時代の自由形エースの言葉は実に力強い。